切符の買い方から車内での過ごし方まで! 個人手配のシベリア鉄道旅
極東ウラジオストクから首都モスクワへ。車窓からの景色と途中下車を楽しみながら、広大なロシアを東西に結ぶシベリア鉄道に乗車してきました。
途中サンクトペテルブルグに寄ったので走行距離はたぶん1万キロ以上! 日本列島の長さで換算すると約三周分は移動するロマンあふれる鉄道旅は、誰かに勧めたくなるほど最高に最高(に暇)な時間でした。
この記事では自分の鉄道旅を振り返りながら、切符の買い方から車内での過ごし方までを徹底解説。ロシア語は分からないけど、個人手配でシベリア鉄道に乗りたいという人にぜひ読んで欲しいです!
乗車料金
【総額】
33,838.5円
【内訳】
→エカテリンブルグ(三等車):8,403.7円
→サンクトペテルブルグ(二等車):10,504.5円
→モスクワ(超特急サプサン号):4,798.3円
切符の買い方
正規の値段で切符手に入れる方法は、鉄道の公式ホームページか駅の窓口で直接購入するかの二通りです。ホテルや旅行会社に頼む方法もあるらしいですが、当然手数料がかかるのでオススメできません。(ざっと見た感じ、2倍くらい高かったよ! )
わたしはそのときの気分で途中下車を楽しみたかったので、出発駅のウラジオストクからイルクーツクまで行く切符だけホームページから日本で買っておいて、あとは行きたいところまでの切符を適当に駅で調達していました。
鉄道の公式ホームページは英語表記があるものの、駅の窓口は半分くらいの確率でロシア語しか分からないおばちゃんが出てくるので、事前にロシア語で書いた乗りたい日にちと行き先のメモを用意しておこう。
21世紀だし飛行機がポピュラーな移動手段と思いきや、意外とシベリア鉄道はロシア人の足として未だに使われています。週末などは特に早く席が埋まるので、切符は出発予定日の2~3日前に取るのが安心。
車両の種類
日本の寝台列車と同じく、シベリア鉄道も車両が等級で分かれています。今回の旅行では外国人旅行者に人気だと言われる個室寝台の二等車と一番安い開放寝台の三等車に乗りました。
一つ等級が上がるごとに1.5~2倍くらい値段が上がりますが、二等車と三等車の違いは正直そこまで感じられませんでした。というのも、二等は個室寝台とはいえ4人で一部屋なので、一人旅だと結局プライベートな空間なんて手に入らないからです!
なので、オススメはロシア語でプラツカールトヌィと呼ばれる三等車。
一人だと窓側の対面二人掛け席になることが多く、横に気を使うことなく過ごせました。同乗者同士を遮るものがない分、車両全体がアットホームな雰囲気です。
開放寝台なので、着替えたり体を拭いたりなどはトイレでします。車掌がこまめに掃除をしているので特に不快感はありません。
唯一困ったのはトイレ内手洗い場の蛇口が赤と青のひねりを回す系ではなく、水が出るところを上に押し続けるタイプだったこと。初見殺しだし、片手がふさがるので顔を洗うのが大変。ちなみに、使い終わった食器はここで軽く流してウエットティッシュで仕上げに拭いていました。出てくる水はタンクからなのであまりきれいではないと思います。
食事
さすがに世界一長い鉄道というだけあり、駅を出てから次の駅まで数時間はかかるということがほとんど。さらに旅行者が降りるような大きな駅間の移動となると、最低でも一日は車内で過ごすことになるので、日本の新幹線のように駅弁だけという訳にはいきません。
現地のロシア人を見ると乗車期間分の食料を持ち込んでいました。車内は飲用のお湯が無料で使えるので、毎日インスタントラーメンを食べている人から包丁を持ち込んで本格的に料理をしている人まで様々。
わたしはというと、日本でもあまり料理をしないのでインスタントラーメンに頼りっぱなし。
リフィルのカップヌードルと大きめのキャンプマグを日本から持ち込んで一日三食お湯を注いでいましたが、さすがに限界を感じてきて(しょう油味だけでなくカレー味やトマト味と色々準備して飽きないように工夫したものの……)後半はスーパー買った食材を持ち込みサンドイッチ(?)を作っていました。
上に乗っているのはインスタントのマッシュポテト。これがとにかく美味しい! お土産に買って帰ったくらいです。
ロシアのスーパーは想像通りどれも大きなサイズでしか売っていなかったので、サラミやチーズなどの常温で保存しても大丈夫なものを中心に買いました。
一応、食堂車なんかもありました。
メニューは豊富で英語表記でしたが、ものすごく高い。
手前のクリームシチューのような料理が1200円くらい。スーパーで二日分の食料を買っても600円ほどなのでビックリ。
とはいえ、厨房で調理されたアツアツのシチューはメチャクチャ美味しいので、どうしてもインスタント食品では満足できなくなったら使ってみるのも手。
もっと気軽に華やかな食卓を楽しむ方法として、途中駅に並ぶ露店の軽食があります。
各駅だいたい20分ほど停車するので、その間にホームに降りて露店からおばちゃん手作りのピロシキや謎の木の実、バイカル湖周辺では有名なオームリの燻製などを比較的安く買うことができます。
ロシアの国民的総菜パンのピロシキは、ロシア語ができないと割ってみるまで中身が分からないオモシロパン。地球の歩き方には『肉入りは衛生的に避けた方が良い』と書かれていましたが、露店ではそんなの選べないし、もしものときの正露丸はよく効いたので積極的にトライするべし。
ごはんなんてお腹がいっぱいになれば良いと思っていたら大間違い。することやることのないシベリア鉄道において、工夫を凝らす余地のある食事は大きな暇つぶしの一つ。そして、もちろん楽しみの一つでもあります。
特に三等車は同乗者と持ち寄ったごはんをシェアして食べることが多いので、たくさんの料理にチャレンジしてみて下さい!
車内での過ごし方
冒頭で『誰かに勧めたくなるほど最高に最高(に暇)な時間』なんて言ってみたけど、それは後で振り返ってから気づいたことで、乗車中はとにかくやることがなくて死ぬかと思いました。
旅情あふれる車窓からの景色に耽るのは最初だけ。あとは読書をするか、乗り合わせたロシア人とおしゃべりをするか、ぼーっとするか。それでも時間はなかなか進まないので、日記の使わないページでロシア語の勉強をしたり座禅を組んでみたり。
無口で暗いイメージだったロシア人は意外と話し好きで、言葉はほとんど通じないものの携帯の写真を見せあったりトランプをしたりしていました。多分、ここでのおしゃべりで日常会話レベルのロシア語はマスターできた。
わたしは子供にちょっかい出されることが多く、よく一緒に遊んでいました。ロシア語がほとんど分からないため、結局大人同士でも満足のいくコミュニケーションが取れないので、テンションの高さだけで意気投合できる子供とは意外にも楽しい時間を過ごすことができました。
他の乗客はというと、黙々と数独をしていたり、おばさん同士話しながら刺繍をしていたり。
バッグギャモンは肌感では日本よりもポピュラーなボードゲームに見えたので、ルールを知っていれば車内での楽しみが一つ増るかと。
シベリア鉄道で過ごした時間は究極の暇で、モスクワに到着した直後はただただ本当に長い鉄道だったと呆れていました。しかし、刺激と誘惑の多い東京に帰ってきた今、起きて食べて寝るしかないシンプルな生活もとい、ひたすら長いだけの移動時間が贅沢だったとも感じます。
一年に何回もとは言わないけど、また機会があればぜひ乗りたいです。普段考えないことを考えたり、頭と心を休めるためにはぴったりの時間でした。
シベリア鉄道の持ち物⇒